覆面作家企画5・Fブロックの感想
- 2011.09.08 Thursday
- 23:41
F01 狭間
ステキな感じのおじさまのひとり語り。夢と名のつくものがビー玉のようになるというくだり、最近読んだばっかりのせいもあって『夢の上』を思い出した。「大切なのは目標だ」というセリフが印象的。そうだよね、大事なのは目標に辿り着くことだよね。
F02 覆面朗読会を始めましょう
アメリカの古いホームドラマを観ているような気分になった(見たことないけど、褒めているんです)。覆面作家企画にかけて覆面朗読会だったのかな。ネットで繋がるこのご時世なのでノスタルジックな気分にもなりました。なのにドロシー、あんたって子は……! でもハッピーエンドで良かった。これからは二人なりの覆面朗読会、ジュリアをつくっていっておくれ。
F03 モノクロメトロ
女の子がストーカーだよ、恐ろしい子っ! と思って読み進めたら男の子もそれに負けないくらい黒いものを腹に抱えていた。こわいなぁ。わたしだったら走って逃げます。
F04 ハートブレイク・ランニング
最後にちらりと登場する友人二人のキャラが先輩よりも濃かった気が。でもいいお友達がいてくれることだし、いつか青春のほろ苦くも懐かしい思い出になるさ! いやしかし、走るのが好きだった自分を「走るだけの空虚な自分」とそんなにおとしめなくても。それだけ怪我をして走れなくなったのがショックだったんだろうし、新しく見つけた好きなことで癒されたんだろうけど。「自分の中身を詰め直した」という表現が好き。
F05 いろはつき
少女漫画を読んでいるような甘さ。恋心が芽生えてから失恋するまでを短い中に無理なく収められていた。文章もストーリーもテンポ良い。初めての恋だから自分でもよく分かっていなくて、嫉妬もどす黒くなくてかわいらしいなぁ。でも室内競技のバドミントン部がテニス部と練習を一緒にするのはちょっと……いや、だいぶ無理があるような。話の本筋とは関係ないんだけど。あと、同じ学校の先生同士が付き合うのもたぶん教育上あまりよろしくないと思われる。
F06 太陽と月の王国
字数の割に内容が濃密。正統派のファンタジーだと思いましたよ、わたしは。若者の住む町の人達がさり気なく優しいのが良い。寝る前に読み聞かせしたくなるような話だった。
旅人=竜なんだと思うけど、旅人は小賢しい印象なのに竜になるとちょっとお間抜けな印象が……。竜が言う「この国の王」というのは侵略をした国の王様のことでいいのかな。
F07 許し
おお、山岳小説。真保裕一の『ホワイトアウト』と井上靖の『氷壁』を思い出す。謝罪と赦免を求めての単独登山。先輩と向き合うというよりは、同じ状況につっこんでいくことであの日の、そしてその後の自分を自分で許そうとしているようにも思える。主人公が感情的で女々しい(失礼)ので書いたのは女性で、下調べしてから書いたという印象(違ってたらすみません)。穂高真美は穂高岳から取ったのかな。
F08 愛情木端微塵斬り、同情十把一絡げ
うーん、シニカル。コメディと見せかけてのこのラスト。可哀相って言ってもらえたからミロイは救われたのかもしれないけど、彼女が救われるための言葉が「可哀相」というのが皮肉だなぁ。とんでもない妄執をさらりと書いているからシニカルさがより際立っている。そして、卵を産む羊がとても気になる……。殻にふさふさの羊毛が生えている卵なんだろうか。しかも羊畑って。どんな羊だったのか、ぜひ描写してほしかった。
F09 絶筆「明赫」〜建館の由来
アリアのひたむきさが伝わってくるなぁ。でもてっきりまだ若いアリアが一人語りしているのかと思ったら、おばあさんだった……。アリアは絵を最後まで見ることができたんだろうか。没収されそうな勢いだったんだが。
F10 俺 in QQ 24時
「そういうシステムになっている」というのはつまり、それだけの精神的負担、責任を課せられないからこそコンビニバイトのどじっこちゃんとさほど変わらない時給ってことなんだよね。VIPがまくし立てる場面、思わず泣きそうな気分になった。親にとっては一事が大事。青年の成長がよく分かる構成がうまいなぁ。
F11 『四本の筆』
名前が最後にならないと出てこないから、途中このセリフはどっちのだ? と戸惑うことも。読み返せば分かったけど。静かで綺麗ないい話。しかし正確に写し取る画力があることが創作絵画の才能があることとイコールなのかな。
F12 白蛾降る
白くて静かで冷たくて哀しい。遊女の話なんだから明るくってわけにはいかないんだろうが、それにしても主人公の境遇(特に請け出された後)がひどい。雪を白い蛾(しかも死んでいる)と表現するところに、主人公の絶望感が現れているような。せめて彼女があの人のお墓にたどりつけるといいなぁ。
ステキな感じのおじさまのひとり語り。夢と名のつくものがビー玉のようになるというくだり、最近読んだばっかりのせいもあって『夢の上』を思い出した。「大切なのは目標だ」というセリフが印象的。そうだよね、大事なのは目標に辿り着くことだよね。
F02 覆面朗読会を始めましょう
アメリカの古いホームドラマを観ているような気分になった(見たことないけど、褒めているんです)。覆面作家企画にかけて覆面朗読会だったのかな。ネットで繋がるこのご時世なのでノスタルジックな気分にもなりました。なのにドロシー、あんたって子は……! でもハッピーエンドで良かった。これからは二人なりの覆面朗読会、ジュリアをつくっていっておくれ。
F03 モノクロメトロ
女の子がストーカーだよ、恐ろしい子っ! と思って読み進めたら男の子もそれに負けないくらい黒いものを腹に抱えていた。こわいなぁ。わたしだったら走って逃げます。
F04 ハートブレイク・ランニング
最後にちらりと登場する友人二人のキャラが先輩よりも濃かった気が。でもいいお友達がいてくれることだし、いつか青春のほろ苦くも懐かしい思い出になるさ! いやしかし、走るのが好きだった自分を「走るだけの空虚な自分」とそんなにおとしめなくても。それだけ怪我をして走れなくなったのがショックだったんだろうし、新しく見つけた好きなことで癒されたんだろうけど。「自分の中身を詰め直した」という表現が好き。
F05 いろはつき
少女漫画を読んでいるような甘さ。恋心が芽生えてから失恋するまでを短い中に無理なく収められていた。文章もストーリーもテンポ良い。初めての恋だから自分でもよく分かっていなくて、嫉妬もどす黒くなくてかわいらしいなぁ。でも室内競技のバドミントン部がテニス部と練習を一緒にするのはちょっと……いや、だいぶ無理があるような。話の本筋とは関係ないんだけど。あと、同じ学校の先生同士が付き合うのもたぶん教育上あまりよろしくないと思われる。
F06 太陽と月の王国
字数の割に内容が濃密。正統派のファンタジーだと思いましたよ、わたしは。若者の住む町の人達がさり気なく優しいのが良い。寝る前に読み聞かせしたくなるような話だった。
旅人=竜なんだと思うけど、旅人は小賢しい印象なのに竜になるとちょっとお間抜けな印象が……。竜が言う「この国の王」というのは侵略をした国の王様のことでいいのかな。
F07 許し
おお、山岳小説。真保裕一の『ホワイトアウト』と井上靖の『氷壁』を思い出す。謝罪と赦免を求めての単独登山。先輩と向き合うというよりは、同じ状況につっこんでいくことであの日の、そしてその後の自分を自分で許そうとしているようにも思える。主人公が感情的で女々しい(失礼)ので書いたのは女性で、下調べしてから書いたという印象(違ってたらすみません)。穂高真美は穂高岳から取ったのかな。
F08 愛情木端微塵斬り、同情十把一絡げ
うーん、シニカル。コメディと見せかけてのこのラスト。可哀相って言ってもらえたからミロイは救われたのかもしれないけど、彼女が救われるための言葉が「可哀相」というのが皮肉だなぁ。とんでもない妄執をさらりと書いているからシニカルさがより際立っている。そして、卵を産む羊がとても気になる……。殻にふさふさの羊毛が生えている卵なんだろうか。しかも羊畑って。どんな羊だったのか、ぜひ描写してほしかった。
F09 絶筆「明赫」〜建館の由来
アリアのひたむきさが伝わってくるなぁ。でもてっきりまだ若いアリアが一人語りしているのかと思ったら、おばあさんだった……。アリアは絵を最後まで見ることができたんだろうか。没収されそうな勢いだったんだが。
F10 俺 in QQ 24時
「そういうシステムになっている」というのはつまり、それだけの精神的負担、責任を課せられないからこそコンビニバイトのどじっこちゃんとさほど変わらない時給ってことなんだよね。VIPがまくし立てる場面、思わず泣きそうな気分になった。親にとっては一事が大事。青年の成長がよく分かる構成がうまいなぁ。
F11 『四本の筆』
名前が最後にならないと出てこないから、途中このセリフはどっちのだ? と戸惑うことも。読み返せば分かったけど。静かで綺麗ないい話。しかし正確に写し取る画力があることが創作絵画の才能があることとイコールなのかな。
F12 白蛾降る
白くて静かで冷たくて哀しい。遊女の話なんだから明るくってわけにはいかないんだろうが、それにしても主人公の境遇(特に請け出された後)がひどい。雪を白い蛾(しかも死んでいる)と表現するところに、主人公の絶望感が現れているような。せめて彼女があの人のお墓にたどりつけるといいなぁ。